チリの家づくりブログ 〜WELLNESTなマイホーム計画〜

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WELLNEST HOME(ウェルネストホーム)で超高気密・高断熱住宅を建てるまでの記録です

【断熱について】断熱(材)の歴史と必要性

こんにちは、チリです。

本日は5月15日金曜日です。


さて、今回は前回に引き続き、断熱材についての続きを書いていきたいと思います。

ちなみに前回の記事では、断熱材とは何か?ということと、その分類について書いたので、もし良かったら参考にしてください⬇️


ところで皆さんは「断熱材」というと、ただ単に「熱を遮断するための建築資材」であると思われていませんでしょうか?


実は断熱材には種類にもよりますが、断熱性だけでなく、防音性、調湿性、耐震性があったり、あるいはセルロースファイバーのような防蟻処理(ホウ酸処理)の施された断熱材であれば、シロアリ対策にも一躍買っているものも存在しています。


このように、断熱材は、その使い方によっては断熱機能だけでなく、様々な能力を持っており、現代では家づくりをする上で欠かせないアイテムとなっています。

ですから、これからマイホームを建てる方にも、このようなことまで含めて考え、自分が選ぼうとしているハウスメーカーや工務店がどのような断熱材を使用しているのかをチェックしてみることをおすすめいたします。


それでは今日は、断熱材についての歴史から書いていきたいと思います。

断熱(材)の歴史

何事もその本質を知るために歴史を振り返ることは大切です。

近年住宅性能を高めるために広く用いられている断熱材は、歴史はまだ浅いのですが、人々の住宅における”断熱”の概念的なものの歴史は古く、最古の文明国であった古代エジプトから始まっています。ですから、以下に示す歴史的変遷は、「断熱材の」というよりも、「断熱の」歴史と言った方が良いかもしれません。

・古代エジプト〜

古代エジプト人は建造マスターでした。あれほど大きなピラミッドをあれほど精巧に建てるのは、今の技術をもってしても難しく、莫大な労力と時間ととてつもなく巨額な資金がないと建てることはできないと言われています。そのような人類の文明が始まって以来、圧倒的な技術力を持ったエジプト人ですから、一般的な建物の断熱ももちろん考えられていたようです。分厚い石材を積んでできた家は、エジプトの砂漠地帯の温熱環境の厳しさ(日中は日照りで暑く、夜は寒い)を耐え凌ぐのに十分な断熱性能があったと考えられています。

・古代ギリシャ〜

古代ギリシャ人も古代エジプト人に負けず劣らず住宅の断熱に関しては先進的でした。彼らは、今でこそ有害物質・発がん物質としてその住宅への使用が禁じられているアスベストを住宅の断熱材として使用していました。実はアスベストはその語源がギリシャ語の”asbestos”であり、”a”は「否定」の意を示し、”sbestos”は「消すことができる」という意味です。すなわち、”asbestos”は「不滅の」という意味であり、その言葉通り燃えない不燃材としても多様な用途で使用されてきました。アスベストは、安価であると共に、抗張力、紡糸せい、耐熱性、耐薬品性、熱絶縁性、電気絶縁性、耐摩擦性、防音性などの諸性質に優れており、このような多彩な性質を持つ繊維状化学物質は歴史上存在せず、人体に有害であることを除けば「史上最強の繊維」と言えるでしょう。そのようなアスベストの性質を知ってか知らずか、古代ギリシャ人が建築物の断熱材として使用していたというのは驚きです。
また、古代ギリシャ人は空気の高い断熱性能にも気がついており、壁の中を空洞にすることでも断熱性能を高めていたようです。すごい知恵ですね!!

・古代ローマ〜

古代ローマ人はパイプ断熱を開発したことで有名です。
古代ローマ人は邦画である「テルマエロマエ」でも紹介されていたように、お風呂好きであったようで、水道を作り、大きな大衆浴場に暖かい水を送るためにコルクで断熱されたパイプを使用していたようです。パイプ断熱というのは、それが起源となっているのですね。すごい技術力に脱帽するしかありません。

・中世〜産業革命

中世にもなると技術の進歩により住宅構造も変わっていきましたが、それでもまだまだ住宅性能は今ほどは良くありませんでした。泥を用いて断熱したり、タペストリーを用いて隙間風を防いだり、というのがやっとという感じでした。

・産業革命以降〜近代

蒸気機関が開発されると、革命的に産業が発展し、人々は蒸気の熱を伝える管を断熱する必要性に迫られました。それは断熱の意味合いももちろんありましたが、熱から自分たちの身を守る為でもありました。そして、その時にもっぱら選ばれた断熱材がやはりアスベストでした。この優れた性能・性質を持つ断熱材は、その人体への有害性が明らかとなる20世紀後半になるまで幅広く使用されていました。

・近代以降〜現代

近代(20世紀)に入ると、住宅性能が飛躍的にアップする発明がなされました。それが「ダブルサッシ(複層ガラス)」の窓です。これはビクトリア朝時代(1840年頃〜1900年代初頭)にスコットランドで王族の広大な屋敷の隙間風を防ぐために発明されたとされていますが、定かではありません。その後1930年代にアメリカへその技術が伝わり、アメリカ人であったヘイブン(C. D. Haven)という人が”Thermopane(サーモペイン??)”という複層ガラスの窓を開発し、販売し始めたそうです。しかしながら、当時はまだまだ高級品であり、1970年代までは欧米でもこのダブルサッシ窓を使用しているのは一部のお金持ちに限られていたようです。

・現代〜近未来

現代の断熱に関する画期的な発明は、何と言っても壁断熱(中空壁断熱:Cavity wall insulation)でしょう。これは1940年代にアメリカで発明されたとされていますが、これ以降様々な断熱材が作られ、壁と壁の間の空洞に仕込むことで住宅の断熱化が図られ、その技術や工法は、急速に高度に発展していきました。特にここ20〜30年ほどの断熱材の進化はめざましく、二重サッシすら一般的でなかった時代(ほんの半世紀前)と比べるとその住宅性能(断熱性能)は雲泥の差があります。
また、住宅の断熱化と壁の隙間をなくす気密化が進むにつれ、住宅の燃費も良くなり、CO2排出削減につながるため、地球環境に対してもエコだし、経済的にも得をするということにも人々は気づき始めました。
ですから、日本以外の先進諸国では断熱化を義務化している国々が多く見られ、少しでも住宅の燃費を良くしようとする人が増えています。
そして、今後もテクノロジーの進化により、ウレタンなどの物質を使用した断熱ではなく、真空断熱材なるものも出てくるでしょうし、さらに住宅性能を改善するための断熱手法が次々に開発されていくでしょう。我々も遅れを取らないようにしたいものですが、学問後進国である日本ではどうにもなりそうにありません。


以上、断熱材の歴史をかいつまんでみてきました。それでは次は断熱材の必要性についてみていきたいと思います。

高まる断熱材の必要性

ただでさえ、現在の一般的な建物・住宅の温熱環境は厳しさを増しており、一般家庭でもエネルギー消費量はますます増加しています⬇️

そのエネルギー消費量増大に関する対策として、これまでに、その建物全体のエネルギー消費を抑える方策が世界的に次々に編み出されてきました。


例えば太陽光発電システム(ソーラーシステム)や、ヒートポンプや、相変化材料(PCM)や、マイクロコージェネレーションなどです。


ソーラーシステム以外は聞きなれないかも知れませんが、それぞれ以下に参考記事・サイトを紹介しておきますので、各自チェックしてみてください。

・ヒートポンプ⬇️


・PCM(相変化材料=潜熱蓄熱材)

・マイクロコージェネレーション

また、これらは全てエネルギーを作り出したり(=創エネ)消費を抑える(=省エネ)ことにより、地球環境にとっても経済的にもエコであることから、エコや省エネが叫ばれて久しい欧米先進諸国では、近年盛んに取り入れる家庭が増えてきているそうです。

さらに、欧米先進諸国では住宅デザインする際に、LCC(Life Cycle Cost)を用いて住宅にかかる初期費用だけでなく、光熱費を含めたメンテナンスコストを想定しておくことが重要とされていますし、イギリスなんかではCAD(computer aimed design)ソフトなどを用いて住宅設計することが一般的で、このシステムによる冷暖房も含めた住宅計画・メンテナンス管理には一定の評価が与えられているそうです。


しかし、このようなハイテク技術をいくら使用したとしても、結局のところ使用エネルギーの絶対量自体を減らすことができなければ光熱費を減らすことはできません。


ちなみにみなさんは、住宅にどれほどのエネルギーが消費されているのかご存知でしょうか?


正確な数字は私にもわかりませんが、だいたい我々人類が全世界で使用しているエネルギー総量の約40%が住宅に消費されているそうで、その中でも住宅を冷やしたり温めたりするエネルギーにだいたい60%ほどが使用されているそうです⬇️

すなわち、単純計算で全世界のエネルギー使用量の実に4分の1ほどのエネルギーが、住宅を温めたり冷やしたりするためだけに消費されているのだ、ということですね。


ですから、多大なエネルギーを消費して室内の空気を温めたり、冷やしたりしてバカ高い光熱費を払い続けることを防ぐためにも、建物の温熱性能(断熱性能)や気密性能を高めることこそが、重要なのです。

そのためにも、建物内部に断熱材を適切に仕込む必要がある、ということです。


では、適切な断熱材とは何なのか?

次回はそれについて触れていきたいと思います。



ところで、みなさんは松尾設計室の松尾先生のYoutube動画はご覧になられていらっしゃるでしょうか?


松尾先生の話は断熱・気密について勉強を始めたばかりの人にはかなり難しいのですが、他のどの住宅系Youtuberの動画と比べてもサイエンティフィックで、理論立てて説明されていますので、最も学ぶことが多く、質の高い動画であると私は感じています。

一度見てわからない人は何回もご覧になり、一本一本の動画を徹底的に理解していくことをオススメいたします。


そうすれば、松尾先生も動画中で仰られていた通り、「たいていの建築士・設計士よりも温熱(断熱)のことに関して詳しく」なることができると思います。


以下に、これまでの松尾先生の動画で私が最も勉強になった動画を貼っておきます。特に、この動画の中で語られている「断熱性能はどこまで上げれば良いのか」については最も明確でわかりやすく、私が最も知りたいところでもあったので、その回答が得られたことはとても良かったと思います。

もし良ければまだご覧になっていない方はご覧になり、松尾先生のチャンネルをチャンネル登録されることを強くオススメいたします⬇️


工務店さんからよく受ける質問TOP3


本当にこんな価値のある動画を無料で見られるなんて、とても幸せなことだな、と私は毎日感じながら松尾先生の動画を見ています(笑)

しかし、初めて一ヶ月そこらで数十万視聴って、すごすぎね??

本日は以上です!!