チリの家づくりブログ 〜WELLNESTなマイホーム計画〜

住宅業界のトップランナーと共に、「一生健康で快適でエコ」な家づくりを目指します

WELLNEST HOME(ウェルネストホーム)で超高気密・高断熱住宅を建てるまでの記録です

【良い家づくり】その②:健康的な家を建てましょう

こんにちは、チリです。
本日は2020年3月5日の木曜日です。


このブログの目的はこれから日本で家づくりをしたいと考えている人たちに向けて、有益な情報をお届けしていきたいと考えています。


ちなみに、前回は「長持ちする家」について考察しました。


世界でも有数の多湿国家である日本では、家を長持ちさせるためには欧米以上に気密性・断熱性を高める必要があるにも関わらず、建築費用削減に精を出す業者が後を絶たず、政府もそのような業者に都合の良い基準しか設けてこなかった(しかも義務ではなかった)ために、家の性能がなおざりにされてきたのだ、ということをお話しました。そして、イニシャルコストの削減ばかりを求める顧客(住宅購入者)も、家の性能を軽視する住宅業界の不合理な活動に加担しており、より一層住宅の資産価値そのものを低下させている状況を断罪しました。


もしそのような住宅業界のあり方を良しとしないのであれば、やはり購入者である我々がしっかりものを考え、どのような家づくりをしていくべきなのか、を学ばなければなりません。そのための情報収集のための一つの手段として、このようなブログを活用していただけたら、と考えています。


前置きが長くなりましたが、本日は「長持ちする家」に続いて、「健康的な家」についてお話ししていきたいと思います。


”健康的”な家とは??

そもそもみなさんは、どのような家が”健康的”だと考えておられるでしょうか?


・できるだけ揮発性化学物質(VOC)を使用していない家?
・開放的で、採光しやすい緑豊かな家?
・家事動線や来客動線などにストレスのない間取りの家?


もちろん、そのような家も”健康的”と言えるでしょう。


しかし、私にとって最も健康的な家とは、やはり「気密・断熱性能の良い家」です。
では、ウェルネストホームで建てられる高気密・高断熱住宅が実際にどれほど健康的なのかを、ここで検証していくことにしましょう。


気密・断熱性能は健康に影響する!?


住宅の断熱性・気密性と健康との関係性は、各国の様々な研究により示されてきました。


例えば、人口動態統計を用いた調査で、全国の死亡数と気象データと対応づけて関連性を分析し、冬季に自宅内で心疾患・脳血管疾患による志望の危険性が増すというデータが出ています。
https://www.hws-kyokai.or.jp/images/ronbun/all/201111-01.pdf


しかし、もちろんこれだけでは高気密・高断熱住宅が健康に良い影響を与えるということは言えず、気密・断熱性能の健康に与える影響(間接的便益=Non-Energy Benefits:NEB)を評価するには、実際に高気密・高断熱住宅に転居した人に対して、大規模な調査を行い、網羅的に疾病の改善率などを定量化する必要があります。


実は、そのような研究が少数ではありますが、行われてきたので、以下でお示ししていきたいと思います。


まず、ニュージーランドで行われた研究ですが、断熱改修を行った住宅と行っていない住宅における室内快適性と居住者の健康状態の差異を定量的に調査した大規模介入試験において、断熱改修を行った住宅に居住する人の方が、欠勤回数が減少し、主観的な健康感も向上したことが示されています。
https://www.bmj.com/content/334/7591/460


実はここ日本でも、断熱・気密性能向上によって様々な疾病が防止される傾向にあることが示されています。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/kenkozoushin/100324_roadmap.pdf


また、東北地方を中心とした高気密・高断熱住宅を対象としたアンケート調査でも、室内温熱環境の改善により、風邪や肩こりなどの症状が改善され、高気密・高断熱住宅は居住者の健康にとって良い影響を与えることが示唆されています。


さらに、戸建住宅への転居経験者を対象に、様々な疾患について転居前後における有病状況の変化を問う全国アンケート調査において、住宅の気密・断熱性能の向上により、様々な疾患の改善が定量的に示されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/76/666/76_666_735/_pdf
上記論文においては、様々な疾患の中でも医療機関受診が必要とされ、厚労省の統計データでも扱われているアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などのアレルギー・アトピー疾患や、高血圧・糖尿病などの生活習慣病、心疾患や脳血管疾患などの慢性疾患10疾患の改善率を評価していますが、驚くべきことにその10疾患全てにおいて、改善が認められました。
しかも、この論文中で選定された断熱水準は、国が定める次世代省エネルギー基準(平成11年基準)です。この基準では、断熱性能を表すQ値は、Ⅳ地域(九州から関東までの広範囲を占める地域)で2.7です。
この数値は、ウェルネストホームのような超高気密・高断熱住宅を目指すハウスメーカーがクリアしている断熱性能(Q値でいうと1.0前後)とは程遠いレベルの数値です。
断熱性が高くなるほど改善率が高くなっていることを考えれば、ウェルネストホームクラスの気密・断熱性能を誇る住宅では、個人レベルの健康度は相当上がることが期待できそうです。
また、この論文では、住宅の高気密・高断熱化によって先の10疾患予防ができることに加えて、医療費の軽減や休業による経済的損失を減らせることまで明らかになりました(中所得世帯で一人につき平均年間約27,000円の便益)。これは一種の住宅のランニングコストカットと言っても良いかもしれません。


この論文の著者に名前を連ねておられる近畿大学建築学科教授の岩前篤先生は、随分以前から気密・断熱性能と健康との間に密接な関係性があることを指摘しておられます。


以上のことから、住宅の気密・断熱性能を高めることが我々の健康を維持することにもつながり、また、その健康を維持できれば医療費も削減できるため、経済的損失を減らせることにもつながるということです。


さて、ここまでは高気密・高断熱住宅にすることで健康的な生活が得られる、という一般的なお話でした。


しかし、このようなことは「高気密・高断熱 健康」などのキーワードで調べれば、ネット上で簡単に手に入る情報であり、ここからがこの記事の本番で、他ではあまり得られない情報です。


上記のような話は、主に温度変化が一定になることで得られる便益であると考えられますが、実はそれ以上に居住空間の湿度コントロールが健康を保つために重要なことだということが近年の研究によりわかってきています。


それでは以下で湿度の話をしていきましょう。


湿度コントロールが健康に与える影響


C値やUA値でみれば、ウェルネストホーム以上の超高気密・高断熱住宅を設計しているハウスメーカーや工務店は、全国を探せば他にも存在しています(パッシブハウスジャパンや新住協に所属している工務店など。流石に大手ハウスメーカーや地場の工務店レベルでは無理でしょうが・・・)。
ところが、C値が0.2以下かつUA値平均0.26という超高気密・高断熱でありながら、なおかつ調湿性にも優れた住宅を建てているハウスメーカーは、日本広しと言えども、ウェルネストホームがNo1なのではないかと私は思っています。


ウェルネストホームでは加湿器なしで、真冬でも室内温度20度以上で、かつ湿度45%〜50%をキープできる。


これは、他の高気密・高断熱住宅(◯条工務店や◯ウェーデンハウスや◯林住宅など)の換気システムだけでは過乾燥になってしまい、加湿器や空調システムに加湿機能を追加しなければ湿度コントロールができないことを考えれば、本当にすごいことです。


そして、実はこの湿度(Humidity)を一定に保つことが、屋内空気品質(Indoor Air Quality:IAQ)を保つためには重要であり、健康にも影響するということが、近年様々な論文で示されてきました。


例えば、アトピー性皮膚炎という病気があります。この病気で皮膚科にかかるとほぼ必ず保湿剤を処方されます。これは乾燥が皮膚にとってよくないということが、経験的にもよく認識されているからです。また実際に、日本のように四季の変化がある地域での調査では、空気中の水分量が低下する冬場に、アトピー性皮膚炎の外来患者が増加するという結果が報告されています。


また、これはイギリスでの事例報告ですが、暑くて乾燥している工場や、エアコンで涼しいがやはり乾燥しているオフィスでは、共通して皮膚の痒みを訴える人が増えたため、加湿器を導入したところ、どちらの場合にも症状が治まったというレポートがあります↙️


このレポートでは、皮膚に異常が発生する湿度は35%以下とされていますが、残念ながら日本の冬の湿度環境は最悪で、相対湿度が20%を切ることも少なくはないですし、ひどい時には10%を切ることもあります。ですから、日本の冬にアトピー患者の症状が悪化するのは、至極当然のことと言えるでしょう。


乾燥環境にさらされた皮膚は、様々な刺激に対して敏感になります。


ただし、単に乾燥環境にさらされただけでは一見皮膚には何の変化も見られません。しかし、48時間以上乾燥環境にさらした皮膚の角層を少し引っ掻いたり、セロテープで剥がしたり、石鹸などのアニオン性界面活性剤を塗布したりすると、途端に表皮の異常増殖が認められ、角層バリアが壊れ、皮膚表面がガサガサして膨れ上がってきます。これはまさにアトピー性皮膚炎患者の皮膚で同様に認められる現象です。逆に、通常〜高湿度環境下(40%〜70%)に置かれていた皮膚では、上記のような変化は起こらないことが確認されています⬇️

つまり、乾燥環境は皮膚を外的な因子に対して敏感にしていると考えられます。


また、乾燥環境に置かれると、皮膚だけではなく結膜や気管支などの粘膜表面も敏感になることが報告されています。実際に、先ほど引用したレビュー論文の中でも、乾燥環境ではホルムアルデヒドなどの室内有害化学物質(VOC)の影響が増すことが示されています。


さらに、上記の論文では、時間の経過を追って観察を続けたところ、乾燥環境下で1週間ほど時間が経つと、皮膚の角層が厚くなってきて、バリア機能も回復してくることが判明しました。逆に、高湿度にさらされていた皮膚は、時間が経つと角層が薄くなってきて、バリア機能が徐々に落ちていく、という現象も観察されました。これは一種の環境変化に対する皮膚の適応現象である、と考えられています。


以上のことから、外界の刺激に直接的に暴露されている皮膚(表皮)や粘膜の健康を保つためにも、我々の居住空間の湿度を一定レベル(40%〜60%程度)に保っておくことは非常に重要なことだということがわかります。


健康に住まうためには、IAQ(Indoor Air Quality:屋内空気品質)を一定に保つことが大切!!


この半世紀の間に都市化に伴うヒートアイランド現象などで、温度のみならず、環境湿度も劇的に変化してしまいました。
例えば、日本気象協会が公開(有料)しているデータで、日本各地の気象データ(過去100年分)を手に入れることができます。このデータによれば、東京・大阪など大都会では1800年代と比べると、冬場の湿度低下が顕著であり、特に1950年代〜1970年代にかけて、大きな湿度低下が起こっています。東京では1964年の東京五輪、大阪では1970年の万博という国際的イベントが開催され、この時に大規模な都市化が進んだと考えられます。


すなわち、それまでは田畑や野原や森林であったところが、あまねくアスファルトやコンクリートで覆われてしまい、都市化によって環境中の自然の調湿機能がことごとく失われてしまっているということです。
これは、東京や大阪ほどの都市部ではない地域(京都や水戸や彦根など)では湿度低下が緩やかなことを比べれば明らかです。


しかも、今の日本における一般的な住宅やオフィスの湿度環境たるや、みるも無残なものです。


夏は高温多湿な外では不快指数100%の高湿度であるのに、オフィスや住宅内ではエアコンが効きすぎて湿度は真冬並みの10〜20%ということもあります。逆に冬場は室内は加湿器などで高湿度に保たれているのに、外は上記のような都市化による劇的な湿度低下が起こっています。
さらに、このような屋内外の環境湿度の変化のみならず、ある程度気密性の取れた一般的な住宅では、居住空間内部における温度・湿度の差というものも激しくなっていると考えられます。


すなわち、例えば真夏だとエアコンの効いている部屋では湿度が低下しているのに、それ以外の部屋では湿度80%以上になっている。真冬だと加湿器のたいている部屋では湿度50%以上保たれているのに、それ以外の部屋では外と変わらない湿度(10%〜20%)になっている。


これでは、先述した通り乾いた空気と湿った空気の間を、時間を置くことなく交互に行ったり来たりすることになるために、それが刺激となり皮膚や粘膜表面のバリア機能が徐々に失われていき、弱っていきます。ここにアレルギーの原因となるダニやカビ、アルデヒド類などのVOC(揮発性化学物質)、そして大気中の粒子状化学物質(PM2.5やナノ粒子など)の刺激がさらに加わると、アトピー性皮膚炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎などのアレルギー疾患も増悪すると考えられます。


私は、実はこれこそが現在都市部でのアレルギー・アトピー疾患急増の大きな根本原因の一つになっているのではないかと考えています。


すなわち、真に健康な家づくりを考えるのであれば、高気密・高断熱にして温度変化のない家にすることも重要ですが、それ以上に湿度変化にも乏しい住宅を建設することが大切である、ということです。


ウェルネストホームの家では、湿度を通す漆喰の壁、その奥にある貯湿性に優れたセルロースファイバーの断熱材、無垢材の床などなど・・・。
これら多くの建材・資材が住宅の湿度環境をコントロールするために一躍買っており、超高気密・高断熱であることも相まって、温度変化・湿度変化の両方ができるだけ一定になるよう計算し尽くされています。


ここまで”健康”にも気を配った家づくりを徹底しているハウスメーカーは、私はこのウェルネストホームが日本ではダントツだと思っています。



以上、「健康な家づくり」について(長々と)書いてきましたが、いかがでしたでしょうか??


ぜひこの記事を参考に、皆さんにも健康的な家づくりを検討していただきたいと願っております。