チリの家づくりブログ 〜WELLNESTなマイホーム計画〜

住宅業界のトップランナーと共に、「一生健康で快適でエコ」な家づくりを目指します

WELLNEST HOME(ウェルネストホーム)で超高気密・高断熱住宅を建てるまでの記録です

【ハウスメーカー比較】その①:気密性・断熱性

こんにちは、チリです。
本日は3月12日の木曜日です。



さて、前回までは「〇〇な家を建てましょう!!」シリーズで書いてきましたが、今回は私が独自にウェルネストホームと他者とを徹底的に比較検討してみたことについて書いてみたいと思います。


なぜ他社と比較検討したか?どこと比較したか?どのように比較したか?

私の中では、初めて知った時からウェルネストホームで家を建てたいとは思っていました。ではなぜそんな私が他社と比較検討するようなことをしたのか??


ここでぶっちゃけますが・・・


それは自分と違う考え方を持つ妻に配慮したからです。


実は資金計画や、家の性能などに関して、当初から自分の妻と意見が全く合いませんでした。


妻は、私のような(強過ぎる!?)こだわりは特に持っておらず、「無駄に高過ぎる家づくりはしたくない。できるだけ(イニシャル)コストを抑えて建てられたら良い」と考えている方で、ぶっちゃけ性能が悪くても安く買えるのであれば建売で良いと当初から言っていました。
そして、妻は「子供が自立する頃に住めなくなったらその土地を売って、住み替えたらいい。そのためにも駅近で便の良い値段の下がらない土地でできるだけ安い家を建てることが重要。建物の資産価値なんかすぐなくなるんだから」という、良くも悪くも「普通の」考え(実はその考えこそが建物の資産価値を下げている大きな要因、過去記事参照)をしている人だったので、そもそも私の(家の性能に対する)こだわりを理解してもらうことが難しい状況でした。


そんな妻に配慮すべく、私たちはウェルネストホーム以外の他社(ハウスメーカー)も検討しようということで、いくつかの高気密・高断熱住宅を建てているハウスメーカーに絞ってネットで調べたり、モデルハウスのある住宅展示場へ赴いたり、ハウスメーカー独自の工場見学や施設まで出向いたりして様々な情報を集めました。


そうして、最初からウェルネストホーム以外は眼中になかった私でしたが、他社との比較を余儀なくされることになったのです。


私が個人的に比較検討したハウスメーカーはいくつかありますが、その中でも以下の3つのハウスメーカーは徹底的に比較しました。


一条工務店
「家は、性能」と謳っている通り、断熱性能に関しては国内トップクラス。最大のウリである全館床暖房と、最近では破格の安さの太陽光発電+蓄電を売り出しており、住宅販売件数でも積水を抜いて国内ナンバーワンに。名実ともに他の大手ハウスメーカーを寄せ付けないほどに成長したハウスメーカー。資材のほとんどをフィリピンにある自社工場で一括管理しているため、坪単価の安さも魅力の一つ。実は過去に私たち夫婦もこのハウスメーカーで家を建てる直前まで行きました。しかし、結局当時は資金面で問題があったため、しばらくマイホームは諦め、賃貸で一軒家に住むという選択をしました。今になれば、そうしてよかったなと心から思っています。


スウェーデンハウス
トーモク(株)の子会社。北欧スウェーデンにならった輸入住宅を専門で扱っておられます。毎年のように顧客満足度ナンバーワンで、そのオシャレな外観を含めて、多くの施主から愛され続けているハウスメーカーです。性能面でも他社と比較しても引けを取らず、特に木製のトリプルサッシは、スウェーデンハウスならではの味わいと趣が出ていると個人的には思います。私たちはスウェーデンハウスにはモデルハウスを含めて、結局行くことはありませんでしたが、ウェルネストホームを知っていなければ選んでいたかもしれないハウスメーカーの一つです。特に私は、個人的にスウェーデンハウスの階段の雰囲気が大好きで、自分の家にも同様の雰囲気のものを導入できないものかと画策しています。


小林住宅
大阪を本拠地とする創建(株)のグループ会社。昔は名実ともにトップクラスのハウスメーカーだったそうですが、経営悪化により倒産、創建グループに組み入れられました。その後2001年からダブル断熱を採用し始め、創建が提供するKurumuと名付けられた家づくりにより、家の性能(気密・断熱性能)を担保することでエコな家づくりも志しておられます。資料などを見ながらこのハウスメーカーを妻も気に入り、ウェルネストホーム以外で建てるならここだな、と話し合っていたほどです。


もちろん、どのハウスメーカーもウェルネストホーム同様、高気密・高断熱で耐震性も高く(耐震等級3)、性能の高い家づくりをウリにしているハウスメーカーです。


これらのハウスメーカーと、ウェルネストホームとで私が徹底比較したポイントは以下の5点です。


1.家の性能(主に気密性・断熱性)
2.換気システム
3.防蟻対策
4.外装・内装(間取りも含めて)の自由度
5.資材・建材へのこだわり


本当はアフターサービスやメンテナンスなどについても徹底的に比較検討したかったのですが、これらは不明な点も多かったため、今回は比較対象外としました。
それではいよいよ以下で上記のそれぞれについて、徹底比較したことを書いていくことにしましょう。


ちなみに、一条工務店はi-smartという最も性能の高いシリーズ、小林住宅は外断熱だけでなく、ダブル断熱までした場合の比較をしています。

1.家の性能(気密性・断熱性)の比較

まずは家の性能からみていきましょう。


こんなマイナーでマニアックなブログを読んでくださる読者であればすでにご存知のことと思いますが、他社と気密・断熱性を比較する際には、基本的には断熱材の仕様とQ値・UA(Ua)値・C値の3つ、そして窓の性能(熱貫流率)で比較すると良いでしょう。


それでは早速比較検討していくこととしましょう。

一条工務店(i-smart)

断熱材の仕様

基本的には自社工場生産の高性能ウレタンフォームを使用。

・屋根の断熱:天井断熱ウレタンフォーム235mm
・壁の断熱=外断熱:ウレタンフォーム140mm +内断熱:ウレタン不フォーム50mm
・床の断熱:床断熱:ウレタンフォーム140mm

窓の仕様

・自社工場生産のトリプル樹脂サッシ
・熱貫流率0.8 W/㎡・K(*熱貫流率は低いほど性能が高い)
*専用のシェード(ハニカムシェード)をつければ0.6 W/㎡・K!!(ホント!?)

Q値・UA値・C値(Q・UA値は断熱性能、C値は気密性能。いずれも値が小さい方が性能が良い)

Q値:0.51 W/㎡・K
UA値:0.25 W/㎡・K
C値:0.59 cm2/㎡(何度も計測して3回連続で0.7が出たら合格らしい。良くて0.5台ということか??)


スウェーデンハウス

断熱材の仕様

基本的にはマット状グラスウール(パラマウント硝子工業株式会社の”フェザーグラス”という商品)を使用。
・屋根の断熱:天井断熱グラスウール300mm吹き込み(ブローイング工法)
・壁の断熱=外断熱:マット状グラスウール120mm(密度24kg/m3)
・床の断熱:マット状グラスウール100mm×2=200mm(密度16kg/m3)
*2階床下(1階天井裏)は、グラスウール最大250mm(外壁から60cm部分まで)
*壁パネルの接合部にもグラスウールを挟み込み、その上から防湿フィルムで保護することで住宅の気密性を高めている。さらに床と壁の継ぎ目には、気密パッキンとガイドレールを施工して隙間をなくしている。

窓の仕様

・木製のトリプルサッシ
・熱貫流率1.3 W/㎡・K(*熱貫流率は低いほど性能が高い)
アルミサッシに比べて1000倍以上も断熱性能が高い。ただし耐久性は樹脂サッシが上。
*スウェーデンハウスの外観に合わせた木製サッシは意匠性も高く、オシャレ!!

Q値・UA値・C値(Q・UA値は断熱性能、C値は気密性能。いずれも値が小さい方が性能が良い)

Q値:1.28 W/㎡・K(全棟平均?)
UA値:0.4 W/㎡・K(全棟平均?)
C値:0.63 cm2/㎡(平均値??引き渡し前に測定)


小林住宅(ダブル断熱)

断熱材の仕様

創建がすすめる”Kurumu”という家での外断熱工法、基本的な断熱材はウレタンフォーム(ウレタンボード)を使用、オプションの内断熱は吹き付け発砲ウレタンを使用。
・屋根の断熱:屋根断熱ウレタンフォーム50mm+吹き付け発砲ウレタン80mm
・壁の断熱:外断熱:ウレタンフォーム40mm+内断熱:吹き付け発砲ウレタン75mm
・床の断熱:基礎断熱ウレタンフォーム40mm

窓の仕様

・エクセルシャノン社のトリプル樹脂サッシ
・熱貫流率1.0 W/㎡・K(*熱貫流率は低いほど性能が高い)

Q値・UA値・C値(Q・UA値は断熱性能、C値は気密性能。いずれも値が小さい方が性能が良い)

Q値:2.39 W/㎡・K
UA値:0.33 W/㎡・K(標準の外断熱のみの場合、0.4〜0.5前後か?)
C値:0.28 cm2/㎡を達成(*ただし、内装工事前の一回測定のみ。平均値だと0.3〜0.4くらいか?)


ウェルネストホーム

断熱材の仕様

基本的には外断熱と内断熱を組み合わせた「ハイブリッド断熱工法」
以前は外壁(外断熱)は「アルセコ(alsecco)」が標準仕様でしたが、今はロックウール社の「レッドアート(Redart)」を採用されています。内断熱はセルロースファイバー。ちなみに、セルロースファイバーは、天然繊維(パルプ)で出来た断熱材で、アメリカでは最も使用されている断熱材です。新聞紙をリサイクルして作る再生品であるため、資源の枯渇の心配もなく、製造時エネルギーがほとんど必要ありません。このため、セルロースファイバーは、住む人と地球環境にやさしいエコロジーかつ高性能な断熱材と言われています。


・屋根:セルロースファイバー300mm
・壁断熱:ダブル断熱、内はセルロースファイバー100mm、外はロックウール100mm
・床断熱:ダブル断熱、ネオマフォーム(旭化成)100mm+XPS(=押出法ポリスチレンフォーム)25mm
*低燃費住宅発足当初は床の断熱は基礎断熱だったそうですが、床下が高湿度になりカビの問題があること、また基礎断熱だとシロアリが侵入してもその蟻道がわからなくなる、などの問題があるとのことで、今は基礎断熱はしていないそうです。

窓の仕様

・内付けのトリプル樹脂サッシ
・熱貫流率0.78 W/㎡・K(*熱貫流率は低いほど性能が高い)
*以前はヨーロッパ製のユーロサッシでしたが、旭化成と業務提携してからは、日本国内で生産しているようです。ちなみに、「内付け窓」は耐震性やメンテナンス性にも優れており、ウェルネストホームのウリの一つです!!

Q値・UA値・C値(Q・UA値は断熱性能、C値は気密性能。いずれも値が小さい方が性能が良い)

・Q値:1.0前後
・UA値:平均0.26
・C値は全棟0.2以下(施工中、施工後の2度気密測定)



以上、家の性能を羅列してみました。


これらウェルネストホームを含めた4つのハウスメーカーの性能を比較してみてわかったことは、断熱性能では大手ハウスメーカーの中ではやはり一条工務店がほぼ独走している(一人勝ち)、ということでした。断熱性で一条工務店に敵う家づくりをしているところは日本国内ではなかなかないでしょう。ただし、ウェルネストホームも相当肉薄した数値が出ていますし、断熱性能でも国内トップクラスであることは間違いありません。


一方で、気密性を示すC値(家の隙間を示す数値)を見てみると、この中ではウェルネストホームが圧勝です。ウェルネストホームでは、気密測定を引き渡し前に2度チェックしており、全棟C値0.2以下で文字通り「隙のない」家づくりをされています。


ちなみに、断熱性能がいくら良くても、気密性能が低ければ意味がない、ということを以前の記事で書きました。すなわち、断熱性能と気密性能はニコイチでないとだめだということです。
ウェルネストホームの気密性能(=C値)と一条工務店の気密性能(=C値)を比べてみると、約3倍もの差がついています。これは家の隙間が3倍もあるということなので、気密性能から考えれば、全体的な家の性能はウェルネストホームに軍配があがるのではないかと私は考えます。


ところで、「家は、性能」という謳い文句をつけるほど家の性能にこだわりを持っており、断熱性能では群を抜いている一条工務店ですが、気密性能では数値だけみればウェルネストホームだけでなく、小林住宅と比べてもかなり劣っています。一体なぜでしょうか??


その理由は、断熱性能は断熱材の質や量、窓の性能を高めるだけである程度高く保つことが可能であるのに対し、気密性の高い家づくりをしようとすれば、かなり熟練の大工の腕が必要で、現場の精度の高い施工技術が求められるからです。一条工務店では、年間一万棟以上も施工していますから、そのような高い技術力を持った職人が時間をかけて一軒一軒の家を丁寧に施工しようとすると、かなりの労力と費用が必要になります。
私の穿った見方かもしれませんが、一条工務店はそこにかける労力と費用を許容されるレベルまで削減して、その分を自社生産の床暖房や窓、そして太陽光といった設備投資に回しているのだと思います。その証拠に、床暖房や太陽光(+蓄電池)といった設備に関しては驚くべき破格の安さで顧客に提供しておられます。
しかし、だからこそ年間100棟程度しか建てておらず、比較的一軒一軒丁寧な家づくりのできるウェルネストホームや小林住宅に比べると、気密性ではかなり劣ってしまう。
これは我々高気密高断熱にこだわる人間からすれば、一条工務店の欠点になりうると私は思います。


さらに言えば、「気密性能(=C値)の経年劣化」も気になるところです。
これに関しては、以前の記事でも書きましたが、ウェルネストホームでは建設時のC値が全棟0.2以下、かつ気密性が経年劣化しにくい方策が細かいところまで考えられており、年を経るごとに気密性能では他社と差が出てくると考えられます。


実際に、例えば一条工務店の伝説的施主ブロガーである「さすけ」さんも、C値の経年劣化に関しては、自身で他社(FPの家)のデータと比較した上で、「現時点では一条工務店のC値は5年程度経過すると、建築当初から2~2.5倍程度に悪化するとみるのが妥当」と記載されています⬇️


これは、ウェルネストのモデルハウスでは数年経ってもC値が変化なかった(創業者、営業談)ということと比較すると、かなりの差がついていると考えられます。


というか、そもそも厳しいことを言うようですが、経年劣化のデータを取っていないという時点で、そのハウスメーカーは気密性には自信がない、ということなんだろうと私なら判断しますが・・・。
それともデータは取っているが、都合が悪いデータだから隠しているのか・・・。


ちなみに私ならば、ウェルネストホーム以外でということになれば、気密性に劣る一条工務店ではなく、性能面ではバランスのとれた小林住宅(ダブル断熱)を選びます。しかし、もちろん総合的な家の性能で考えれば、やはりウェルネストホーム以外のハウスメーカーは私には考えられません。


スウェーデンハウスに関しては、残念ながら家の性能で考えれば選択する余地はありません(スウェーデンハウスの営業の方や施主の皆様、ご無礼をお赦しください)。
しかし、先述した通り、スウェーデンハウスは意匠性に優れた外観や家の雰囲気などで愛され続けているハウスメーカーであり、おそらく家の性能だけでスウェーデンハウスを選ばれた施主さんは、ほとんどいらっしゃらないでしょう。


各種断熱材に関しては、また機会があれば詳細を書いていきたいと思います。


ちなみに性能の良い家のランニングコストはどうなっているのか?に関しては、ウェルネストホームの施主であるバタピーさんが、各社を比較したデータを自身のブログ上で公開されているので、ぜひ参考にしてください。


今回は長くなったので、以上にします。


次回は「ハウスメーカー徹底比較②」として、換気システムの比較からまとめていこうと思います!!