【太陽光発電システム】再エネで電力代がタダに!?
こんにちは、チリです。
本日は2020年8月17日月曜日です。
さて、いきなりですが皆さんはフィリップ・コトラーという人物をご存知でしょうか??
コトラーは「マーケティングの神様」と呼ばれており、現代マーケティングの第一人者の一人です⬇️
彼のマーケティング理論によれば、マーケティングの段階は以下の4段階に分けられます。
・マーケティング1.0:製品中心のフレームワーク
モノ自体が少ない時代において、物質的ニーズのある多数の消費者を対象に、安く大量にモノを売ることによって利益を上げる段階。大量生産・大量消費時代における生産者目線のマーケティング。
・マーケティング2.0:消費者志向のフレームワーク
高機能なモノやブランドなど、他社が持つものとは一味違う差別化された価値が消費者それぞれから求められる段階。顧客をどのように満足させ、継続してもらうかを企業側が考える消費者志向マーケティング。
・マーケティング3.0:価値主導のフレームワーク
消費者個人個人の利己的欲求を満たすためだけではなく、地球環境や人権などの倫理的観点も含め、より良い世界を作りたいという価値観を持った「賢い」消費者が対象になる段階。商品のバックグラウンドや企業自体のブランドイメージを価値として消費者に提供する価値主導型マーケティング。
・マーケティング4.0:自己実現のフレームワーク
デジタル社会における消費者の自己実現の欲求まで満たす段階。この段階のマーケティングについては、心理学者であるアブラハム・マズローが唱えた「欲求5段階説」を基にコトラーが提唱しました。ちなみに、マズローによれば人間の欲求は、1.生理的欲求、2.安全欲求、3.社会的欲求、4.承認欲求、5.自己実現欲求の5つの段階に分けられていますが、コトラーは現代社会では、人間の欲求は4つ目の段階である承認欲求までは満たされている、と考えています。そのためコトラーは、現代社会のマーケティングでは、5つ目の欲求である「自己実現欲求」を満たす必要があると考えました。
これらコトラーのマーケティング理論は、もちろん建築業界にも当てはまります。
例えば日本でいえば、増えていく人口に合わせて焼け野原になった土地に新しい家をどんどん建てていくことは戦後すぐは絶対に必要で、それゆえ安く大量の新築が作られていったわけで、これがまさにコトラーの理論でいうところの「マーケティング1.0」の段階に当てはまります。そして、今現在まさに日本の大手ハウスメーカーを中心に実践されているのが「マーケティング2.0」の段階と言ってよいでしょう。しかし、この段階のマーケティングは、「消費者志向」とはいえ、それはユーザーの利己的欲求(快適で高機能であったり、ユーザーが望むブランド力)を満たすためのものに過ぎません。
そしてそれは、「マーケティング3.0」や「マーケティング4.0」の段階における、多くのユーザーたちが思いを馳せている持続可能性や地球環境保全などといった崇高な倫理観までもを捉えたマーケディング戦略とはほど遠いものです。
私は単に自分たちの健康や快楽や快適さのためだけに、デザインが良かったり高性能な家づくりがしたいなどとは全く思っていません。そうではなく、自分の子供や将来生まれ来る孫たちまでが住まえる長持ちする家づくりであったり、あるいは環境負荷が少なく持続可能な家づくりがしたいと考えています。そして私は、そのような家づくりができるハウスメーカーだと考えてウェルネストホームを選んだ、ということです。
私はこのブログを読まれている皆さんにもぜひそのような家づくりを志して欲しい、と心から願っています。そしてそのような人が一人でも増えていけば、住宅業界のマーケティングの段階も進化していくのではないかと思っています。
しかし、残念ながら現状ではまだ日本の住宅業界は「マーケティング2.0」の段階に止まっている状態で、進歩する兆しが全く見えません。
だからこそ、我々一般のユーザーがもっと賢く(「ずる賢い」意味の”clever”ではなく、「智慧のある」”wise”の意味)なる必要があると思います。そしてそのようなユーザーに対応できる企業のみがこれからの時代には生き残っていけるのだと私は思います。逆にいえば、これからの時代(水瓶座の時代)は、コトラーのいうところの「マーケティング3.0」や「マーケティング4.0」の段階に対応できる企業こそが、賢い消費者によって選ばれ、発展していくのだと私は考えています。
さて、また前置きが長くなってしまいましたが、ここから本題に入りたいと思います。
前回記事では、世界でなぜ太陽光を含めた再エネ導入が進んでいるのか?について書きました。
その大きな理由として、再エネ以外の電源の「隠れたコスト=外部コスト」と、再エネの「便益(=ベネフィット)」が、エビデンスを伴った形できちんと政策的にも社会的にも認識されているから、ということでした。
その一方で、ここ日本では、例えば個人の住宅に太陽光発電を導入しようとなった時にも、今投資して将来的にプラス(儲け)になるかどうか、という経済性のみに焦点が当てられ、投資が回収できない(つまり儲からない)ことを理由に太陽光パネル導入に反対している人たちがたくさんいる、というお粗末な状況です。このような理由で太陽光発電導入に反対している人たちの中に、火力発電や原子力発電の「隠れたコスト」や、再エネの真の「便益」についてきちんと理解している人が一体どれほどいるでしょうか??
今回は、そんなお粗末な日本の状況に対して、海外での再エネ事情はどうなっているのか、についてさらに詳しく見ていきたいと思っています。
日本では高いが、海外では安い!?再エネの発電コスト
実際このブログの読者の方でも、「再エネは高い」というイメージをお持ちの方がまだまだ多いのではないでしょうか?
しかし、世界では再生可能エネルギー=自然エネルギーのコストは、近年急激に低下してきています。
IRENAの報告書→再エネの方が火力より安い!!
例えば、わかりやすいところで言うと、世界150カ国以上が加盟するIRENA(国際再生可能エネルギー機関:International Renewable Energy Agency;アイリーナ)という研究機関は、2018年に再生可能エネルギー電源のコスト動向をまとめた報告書を公表しています⬇️
このIRENAの報告書によれば、2010年から2017年までの7年間で、
太陽光発電のコストは73%、陸上風力発電のコストは約25%低下しており、再生可能エネルギーは着実に競争力のある電源になりつつあるとされています。2017年の世界における均等化発電原価(LCOE)での太陽光の発電コストは10セント/kWh、陸上風力発電は6セント/kWh、水力発電は5セント/kWh、バイオマスおよび地熱発電は7セント/kWhだったと試算しています(1ドル=100セントなので、1ドル100円の場合、1セント=1円)。IRENAによると、2017年のG20諸国の化石燃料(=火力)の発電コストは5〜17セント/kWhと推定されていますから、再生可能エネルギーの発電コストは、化石燃料を利用する電源と比較しても遜色ないレベル以上にまで下がってきていることが統計的にも示されているということです。また、このIRENAの報告書では太陽光発電については、さらに2020年までにコストが半減(=5セント/kWh以下)する見通しだとされていました。さらに、陸上風力発電も2020年までに5セント/kWhまで下落するとしています。
実際に、IRENAが2019年に17,000件のプロジェクトから収集したデータによると、太陽光発電(PV)の発電コストは2010年と比べて82%も低下し、集光型太陽熱発電 (CSP) は47%、陸上風力発電は39%、洋上風力発電は29%低下していたことがわかりました⬇️
また、太陽光発電の総設置コストは過去十年間で約8割も低下しており、2021年に運用を開始する太陽光発電プロジェクトの価格は、2019年比で42%も低下して平均3.9セント /kWh(約4円/kWh)となり、化石燃料のうち最も安価な石炭火力発電の価格と比較しても2割以上コストが安くなることが示されています。
さらに、風力発電も陸上風力発電の価格は2021年までに2019年時点よりさらに18%低下して4.3セント/kWh(約4.5円/kWh)になり、洋上風力発電についても劇的な価格低下が見込まれており、洋上風力発電は2023年までに2019年時点より29%低い8.2セント/kWh(約8.5円/kWh)になるとみられてます。
IRENAは2020年には太陽光発電と陸上風力発電の優良な案件については、3セント/kWh以下の発電コストが主流になると予測。つまり、化石燃料を利用する電源の発電コストを下回るという試算をしているのです。
ついでに述べておくと、風力発電の設備の値段も、先述の通り導入が進むに従って下がってきています。風力の稼働率は一般的に太陽光の倍あるので、発電量あたりのコストでみると、太陽光の半分くらいになります。
いかがでしょうか??私が上記で示したことを知らずに、「再エネが高い」などと考えている日本人の常識は、いかに世界からすれば非常識か、ということが少しはわかっていただけたでしょうか??
世界は電力代タダの時代に
日本における再エネに関しては、この方を抜きに話はできないだろうという方がいらっしゃいます。それは、飯田哲也氏。日本のエネルギー学者で、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所の所長を務めておられる方です。彼自身は政治的な活動もされているため、一部の方々(特に経産省をはじめとする原発ムラ界隈の方々)からは忌み嫌われているようですが、主張されていることは単純明快で、飯田氏のいう通り、再エネの波には抗えないとと私も思っています。
実は以前にもこのブログで一度紹介した動画ですが、飯田氏が語る世界の再エネ事情の最先端のことがわかる動画をここで再度掲載しておきます⬇️
【金子勝の言いたい放題】NO5 世界は電力タダの時代に エネ転が拓く経済転換(飯田哲也さんと) 20191230
この動画を見れば、いかに世界のエネルギーの潮流が再エネにシフトしているかが明快にわかっていただけると思いますが、この動画の要点のみ解説しておきます。
・再エネが主力電源へ!!
まず、先ほども紹介したIRENAが出している統計⬇️
これによれば、2050年には風力・太陽光を含めた再エネで世界全体の発電量のなんと86%(!!)をまかなえる、との試算。これには驚きですが、実はこれでもまだ控えめなのだそうで・・・。
ドイツの民間団体であるEWG(エナジー・ウォッチ・グループ)によれば、2030年までに全世界の一次エネルギー供給の32%を太陽光が占めるという予測が立てられています⬇️
しかも、このグループによれば、なんと2050年には全世界の一次エネルギー供給の100%を再エネがまかなえるようになるとの予測!!!太陽光と風力だけで全世界の電力供給の95%、エネルギー全体の88%を占めるに至るとのこと!!!
これはホントにトンデモない予測!!!!
・海外での再エネのコスト破壊!!
そして、さらに諸外国ではどんどん再エネの発電コストが安くなっているとのデータが。
例えばインドでは2017年度で太陽光発電が約4.2円/kWhとなっており、すでに石炭火力より安い電源になっているとのこと。また、メキシコでは4円の大台を切り、なんと約3.9円/kWh、チリでは約3.2円/kWh!!ドバイでは3円すら切り、約2.7円/kWh!!!
世界的に再エネが爆発的にその発電コストを低下させていることが確実にデータとして明らかになっているのですね!!
ちなみに我が国の宗主国である米国でも太陽光や水力などの再エネがコストダウンしていることが明らかになっています⬇️
風力は10年で70%減、太陽光はなんと89%減です!!
・予測されるギガフォール
さらにさらに、これまた強烈な予測ですが、Carbon Trackerというシンクタンクの予測によれば、2017年度で全世界中で200兆円であった化石燃料市場が、2030年代には完全になくなる(ゼロになる)ということです!!⬇️
みなさん、わかりますか??
もはや10年後には化石燃料が必要ない時代がやってくるんですよ!!
そして世界はそのことをすでにわかっていて、再エネ電源を中心としたエネルギー供給がすでに中心的な役割を果たしつつあるわけです。
なのに今日本がやっていることは、石炭燃料を重要なベース電源だとしたり、原発は安いから推進だと言ったり、世界と真逆のことをしているのです!!
これに関して、みなさんはどう思われるでしょうか??
もはや再エネの波・うねりはこれから大きくなることはあっても、小さくなることはあり得ません。みなさんもこの波に乗り遅れることのないよう、今から再エネについて真剣に考えておくべきですよ!!
しかもこの動画の後半でも述べられているように、太陽光発電などを導入していくことによって、個人や小さな地域・コミュニティでそれぞれが必要な発電しそれを地産地消していくことで、地域分散型ネットワーク社会を形成していくことができるのです!
さあ、いよいよ次回からその辺りの話をしていければ、と思っています。
今日も長くなったのでここまでです。
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