チリの家づくりブログ 〜WELLNESTなマイホーム計画〜

住宅業界のトップランナーと共に、「一生健康で快適でエコ」な家づくりを目指します

WELLNEST HOME(ウェルネストホーム)で超高気密・高断熱住宅を建てるまでの記録です

【太陽光発電システム】電気代はなぜ上がり続けるのか!?

こんにちは、チリです。

本日は2020年8月28日金曜日です。


さて、実は「太陽光発電(+蓄電池)」について長々と書いてきた中で、今回からの記事こそ、私が最もみなさんにお伝えしたい内容のものになります。内容的には私なりにかなり深いところまで考えて書いているつもりですし、ここで触れる話は有名住宅系YouTuberや並み居る施主ブロガーなどにもほとんど取り上げられていないことだと思いますので、ぜひ理解できるまで何度も読んでみてください!!


前回記事の最後に「次回からオフグリッドについて書く」と述べましたが、今回は電気代が高騰を続ける日本において、我々一人一人が電力消費についてどのように考えていけば良いのか??ということについて、私から問題提起をさせていただければと考えています。

上がり続ける日本の電気代

高騰する電気代

突然ですが、日本の電気料金の価格について皆さんはどう思いますか??適正な価格だと感じていますか??それとも高いと感じますか??


皆さんもよく「日本の電気料金は諸外国と比べると高い」という話を聞いたことがあるかと思います。


例えば、以下のグラフをみると、日本の実質の電気料金(税金を引いた正味の電気料金)は比較している諸外国と比べて最も高いことがわかると思います(グラフはhttps://selectra.jp/energy/guides/ryokin/denkidai-nihon-takaiより拝借)⬇️

しかしながら、実際には国内外の電気料金の価格差は燃料・原料の調達方法や、消費量の多寡、国内の輸送インフラの普及状況、人口密度、あるいは為替レート等といった様々な要因によって生じるため、内外価格差のみを取り上げて論じるのは現実的ではありません。また、電気料金の国際比較をする際には、平均年収に占める電気料金の割合で比較する必要があるかと思いますが、私の勉強不足もあるのか、そのような調査結果は寡聞にして知りません。


ですから、諸外国と比べて日本の電気料金が高いのか、安いのか、私などには正直よくわかりません。これに関して誰か明確な答えがある、という方はぜひコメントください。

電気代が高くなっているのは「再エネ賦課金」のせい!?

しかしながら、様々な理由により日本の電気料金は今後も値上がりし続けていく可能性が高いと私は考えています。その理由の一つとして槍玉に挙げられているのが、「再エネ賦課金」制度です。


よもやこのブログをお読みになられている皆さんの中には、「再エネ賦課金」なるものの存在を知らない方はおられないとは思いますが、もしまだ賦課金についてよくわかっていない、という方はとりあえずは以下の記事をまずお読みください⬇️


再エネ賦課金は、皆さんが契約している電力会社に毎月支払う電気料金に上乗せされる形で、各電力会社から各消費者に請求されます。ちなみに、再エネ賦課金は年度ごとに国が全国一律で決めており、全国全ての電力会社で同一の料金体系となっています。


ちなみに、再エネ賦課金の年次推移については、下記表をみてください(表はhttps://pps-net.org/statistics/renewableより抜粋)⬇️

この表を見れば一目瞭然ですが、賦課金による上乗せ額は年々増額されており、大手メディアでもこのことが電気料金の値上げの原因だとする報道がされているようです。


確かに一時点をみれば、それは事実だと言わざるを得ません。


しかし、もうすこし長期のスパン、例えばここ数年の変化をみると、再エネ賦課金の増額幅は年々少なくなってきており、電気料金の上昇は再エネ賦課金「以外」の影響が大きいことがわかります。


例えば以下のグラフをみてください⬇️

これは、2016年度から2019年度の平均電灯電力販売単価(以下、電灯単価)の推移を示しているグラフです(https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20200413.phpより抜粋)。ちなみに、「電灯単価」とは、「正味の電気料金」のことだと考えてもらえれば良いでしょう。


このグラフによれば、2016年度には1kWhあたり2.23円であった再エネ賦課金が、2019年度には2.95円と3年の間に0.72円上昇しています。一方で、電灯単価は1kWhあたり20.40円から22.64円と3年間で2.24円上昇しています。


つまりこの数年でみると、再エネ賦課金の上昇幅よりも電灯単価の上昇幅のほうが3倍も大きいということがわかります。このことから、電気料金の上昇について述べるのであれば、再エネ賦課金の増加ばかりに注目するのではなく、電灯単価の上昇の方こそ問題にすべきだということです。


それでは、電灯単価(=正味の電気料金)の上昇の原因とは一体なんでしょうか??

電気料金値上げの真の原因は再エネ以外にある!!

以前にも、私は日本の電気料金値上がりについて問題提起する内容の記事を書きました(この記事でも電力の自給自足のことを書いていました。自分で書いたのに完全に忘れていました(笑))⬇️

この記事の中でも述べましたが、日本の(正味の)電気料金が値上がりしている最も大きな理由は、「原発をストップしているせいで、発電コストが上がっているから」でも、「発電コストの高い再エネへの転換でお金がかかるから」でもありません。むしろ、再エネへの転換をしていけば発電コストが安くなることは、すでに世界各国の状況から明らかになっており、世界の流れとしては電気代はゼロに向かっていることは過去記事で何度もお伝えしてきました。


このこと(電気代ゼロに向かう世界)についてはやはり以下の動画が最も参考になりますので、再喝しておきます。興味ある方はぜひご視聴ください⬇️


【金子勝の言いたい放題】NO5 世界は電力タダの時代に エネ転が拓く経済転換(飯田哲也さんと) 20191230


この動画内でも軽く触れられていることですが、原発事故処理費用や廃炉にかかる費用などが、我々一般市民の電気料金(託送料金)に上乗せされていることこそ、正味の電気代が高くなっている大きな要因となっているのです⬇️



また、原発関連費用の(託送料金への)上乗せだけではなく、燃料費の高騰による火力発電の発電コスト上昇もここ数年における電気代上昇の大きな要因であるということも指摘されています⬇️


いずれにせよ、日本の電気代上昇の真の原因は「再エネ」にあるのではなく、「火力」や「原子力」の方にある、ということなのです。

託送料金(=電線使用料)に上乗せされる原発関連費用

ところで、皆さんはこの「原発関連費用が我々の電気料金(のうち託送料金)に上乗せされている」という事実をご存知でしたか??


ちなみに、電力が我々のような一般家庭へ届くまでには、


「発電」→「送電」→「小売」


という3つのステップが必要です(画像は資源エネルギー庁HPより抜粋)⬇️


上図の通り、「発電」は電力会社(発電所)、「送電」は送配電事業者(変電所)、「小売」は小売事業者(電力会社)が担う形になっています。


そして、電気の「託送料金」とは、電気の小売事業者(電力会社)が、我々消費者に「送電」するための費用として、送配電網を有する送配電事業者に支払う料金のことです。すなわち「電線使用料金」だと考えてもらえば良いでしょう。


ご存知の方も多いと思いますが、現在までに段階的に実施されてきた電力自由化によって、発電事業は1995年に、そして小売事業は2016年に、すでに自由化されています。


しかしながら、送電事業はまだ自由化されておらず、政府に認められた大手電力会社10社の送配電事業部門が引き続き送配電事業者の役割を担ったままになっているのです。


そのため、電力小売自由化で新たに一般家庭向け市場に参入した新電力などすべての小売事業者は、送電するためにいずれかの送配電事業者に託送料金を支払わなくてはならない仕組みになっています。


これは2016年の電力自由化に伴って、小売事業に新規参入する新電力会社にとって大きな障壁となっています。


さらに、この託送料金=電線使用料金に対して、本来入るべきではない原子力発電所を維持するための費用(電源開発促進税・使用済燃料再処理等既発電費=バックエンド費用)がすでに含まれていること、加えて2020年4月から「賠償負担金」「廃炉円滑化負担金」が上乗せされることが分かっています。


この託送料金に原発関連費用が上乗せされている問題に関して詳しくは以下の記事を参考にしてください⬇️

特集:電気代は税金となった 2017年2月7日号 - 週刊エコノミスト


このことに関連して、「送電線の使用料(=託送料金)に上乗せして徴収するのは法的な根拠がなく違法」だとして、新電力会社が国を相手取り、電力会社の託送料金の認可取り消しを求める訴訟を起こしています⬇️


これは当然のことだと私は思います。


そもそもこのような新たな負担を、我々国民に何の情報提供も国会審議もないまま勝手に託送料金に上乗せし、新電力小売事業参入者や国民に負担させることは、明らかに憲法24条(=財産権)の侵害であり、違憲(国が憲法に背いている)と言わざるを得ません。


今後もこの託送料金に原発関連費用が上乗せされることで、さらなる電気代上昇が予想されています⬇️

さて、今現在全日本国民の中で、このような電気料金高騰の原因として託送料金の原発関連費用上乗せ問題があり、これがすでに違憲状態にある、ということを知っている人が、一体どれほどいるのでしょうか???


そして、そのことを知った上で、それでも原発関連費用を上乗せされていくことになろう電気代の高騰を許容できる、という人は一体どれほどいるでしょうか(もしかしたら結構いるかも)?


少なくとも私はそのような不正な電気代上昇には反対ですし、またそのような電気代上乗せに関わっている電力会社に高い電気代を払い続けるなど、言語道断だと思っています。


だからこそ太陽光発電(+蓄電池)を導入し、出来る限り自家発電・自家消費により電力の自給自足を促進させたいと考えていますし、不足した電力は原発ムラの一因である大手電力会社からでなく、グリーンコープなどの再エネに力を入れている新電力から買いたいと考えています、






以上、難しい話(!?)を長々と書いてきましたが、本当はこのようなことを電力を消費する我々一般消費者は全員がきちんと知っておかなければなりません。ただ何も考えずに便利だからといって電力を消費しているだけでは、決してこの構図を変えていくことはできません。


厳しいことを言うようですが、このようなことを全く知らない人は、私から言わせればB層の人間であり、山本七平風に言えば、「何度でも騙される人たち」です。


このブログを読まれている人は、ぜひB層から脱出していただきたいし、素晴らしい家づくりを志して欲しいと心から願っています。


もちろん何度も言うように、そのためにはやはり何事も「知ろうとすること」が大切です。


電力について言えば、我々一人一人がもっと自分が使用している電力について深く考え、どのように電気を使っていくべきなのか(あるいは使わないべきなのか)?どこから電気を買うべきなのか(あるいは買わないべきなのか)?そして、どのようにすれば自分で電気を作っていくことができるのか?さらにはその作った電気をどのようにすれば自家消費したり、有効に活用できるのか?というようなことを、もっと真剣に考え、取り組んでいくべきだと私は考えています。


今日のところは以上です!!